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サモンナイト2より。
うそつきな唇続き。
気が付いていたのか、気が付いて欲しかったのか。
少なくとも自分は後者だったのだろうと、マグナはこっそり溜め息を吐いた。
どさりと重たい音が響いて、ふたりは慌てて音源のほうに視線を向ける。
何故音がするまで人の気配を察知できなかったのか。
悔やんでも今更遅く、そこに佇んでいた人物に大きく目を見開いた。
「や、あの・・・!?」
ふたり分の鋭い視線を受けただけが理由では決してないだろう。
彼は激しく動揺した様子で、きょろきょろと忙しなく瞳を動かしていた。
その周りに運んでいた荷物らしきものが散らばっているのを見ると、どうやら先の音はこれだったらしい。
しかしそんなことはどうでもよく、ふたりが気にすべきことは彼の隣に寄り添うように立っていた人物ただひとり。
「よお」
彼とは対象的にその人は気楽な様子で片手を挙げ、言葉短に挨拶を返してきた。
いままでのやり取りを見ていたはずなのに、普段とまったく変わる様子はない。
痛みなど感じるはずもない胸が、ずきりと疼いた。
「・・・リュー、グ」
「どうしたの、こんなとこで。シャムロックと逢引?」
「ああっ・・・!?い、いやっ、私はそんな・・・!」
呆然としてしまっているロッカに変わるように、マグナが茶化すように問いかける。
途端に別の意味で慌てだした彼に、リューグが呆れたように溜め息を吐いた。
「おい、マグナ。あんまからかってやるなよ」
「あれ、リューグってば優しいじゃないか。はは、やっぱり俺の睨んだとおり?」
「ったく、絡むんじゃねえよ。別に邪魔したくて、お前らの逢引邪魔したんじゃねぇよ」
さらりとリューグの口から飛び出した言葉に、びくりとふたりの身体が揺れる。
本当になんとも思っていないような口ぶりに目の前がぐらぐらしてくるような錯覚まで覚える。
悲しんで欲しかったわけじゃない、怒りに我を忘れて欲しかったわけじゃない。
喜ぶことはできなくても、邪魔だけはしたくないと思った。
そんな共通の想いに囚われたふたりのあいだの、ひとつの秘め事。
「あはは、やっぱり見てたんだ?」
「見たくて見たわけじゃなねえ、偶々だ!」
「そんな嫌なもの見たみたいに言わなくてもさー」
「あの、ふたりは・・・?」
一見楽しそうにじゃれあうマグナとリューグに、彼が遠慮がちに尋ねてくる。
窺うようなその視線に、マグナは小さく苦笑を浮かべた。
いっそのこと全てをぶちまけてしまおうか。
けれど彼の質問に答えたのはマグナではなく、いままで言葉を発することのなかったロッカだった。
「別に、あなたが想像するような間柄ではないですよ」
「え・・・?」
「じゃあ何でと言われても、僕には返答しかねますが」
「ちょっとロッカ。その言い方じゃ、俺が無理やり迫ってるみたいじゃないか」
「ああ、そういうことにしておきますか?」
「するなっ!」
質問の当事者をほうって言い争いを始めてしまったふたりに、彼が助けを求めるようにリューグを見詰める。けれどリューグはひょいと肩をすくめて、ほっとけとただ一言呟いた。