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おお振り。
水+栄+泉。
 


「どうしよう!オレ、病気かもしれないっ」

ドタドタと部屋に駆け込んでくるなり第一声がそれで、栄口と泉は同時に溜息を吐く。
それを見た水谷は、ぷくっと頬を膨らませた。
高校生が、それも男がやる仕草じゃないだろう。
泉がげんなりとしながら、再び溜息を吐いた。
栄口はよく笑っていられるものだ―――いや、眼は笑っていないのかもしれないが。

「ちょっと泉!なんなの、その溜息は!」
「あー、はいはい。悪かったな、クソレフト」
「クソレフトじゃないし!」
「まあまあ、泉。水谷もちょっと落ち着きなって」

にこにこと人の好い笑みで仲裁されて、泉と水谷は同時に押し黙る。
あの笑顔にはどんな裏が隠されえていることやら、分かったものではない。
もとより泉には、水谷などと言い争う気は欠片ほどもないのだが。

「で、水谷病気なんだっけ?」
「そうっ、そうなんだよー!」
「そっか、ごめんね」

へ?と間抜けづらの水谷が、栄口を見返す。
そこには、これ以上ないほどの笑顔でキラキラと輝いた栄口がいた。

「オレ、あまり頭の病院には詳しくないんだよね」
「・・・って、別にオレ、頭の病気とか言ってないよね!?」
「ああ、精神のほうだった?」
「違うし!別に頭もおかしくなければ、精神も病んでないよ!」
「・・・・・・はぁっ・・・」

もう本当に嫌になる。
泉の遠慮のない重い息が、室内に響いた。
分かっているんだ、なにもかも。
何を言いたいのか、何をしにきたのか。

「もう動機はすごいし、息切れはするし、眩暈とかだってさ・・・!」

うるっと少し潤んだ瞳が、泉と栄口を捉える。
可愛くもなければ、心動かされることもない。
ただ打算だけが見え隠れする、あの子とは比べるのも失礼な涙。

「どうしたらいいかな?」

どうしたら、だって?
そんなもの決まっている。

「死ね」
「死ねばいいんじゃないの」

吐き捨てるように告げた泉と、にこりと笑みのままの栄口。
けれどその心中は、恐らく変わらないのだろう。
挑発、というよりは宣戦布告か。

「ふっ・・・ふたりともひどーいっっ」
「酷いのはどっちだよ」
「同感」

ぎゃあぎゃあと喚く水谷の声を聞きながら、本日何度目かも分からない溜息を吐いた。
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