忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

サモンナイト2より。
ロッカ×リューグ。
 


窓辺に腰かけて、真っ青な空を見るのが好きだ。
手を伸ばせば届くと、そう思わせてくれるこの場所が好きだ。

「なあ、兄貴」

扉の開く音に、声を掛ける。
どうせこの部屋にくる人間なんていないし、数少ない者たちも足音で判別が可能だ。
それ程長く、気の遠くなる程永く、ここから空を見上げ続けている。

「なに、リューグ」
「そろそろコレ、外してくれねぇか?」

首についたそれをじゃらりと鳴らしながら、持ち上げて見せる。
苦しくはないが、まるで犬猫にでもなった気分だ。まあそれも今更なのだが。

「駄目だよ。外しちゃったら、逃げるでしょ?」

にっこりといつも通りの笑みを浮かべて、兄貴がのたまう。
この問いかけも、兄貴の答えも。
幾度となく交わしては、同じことを繰り返す。
永遠に続くループ。終わることもなければ、始まることすらない。

「逃げねぇよ。行く場所なんてないだろ」
「・・・ふふ、うそつき」
「おい、あに・・・っ、んぅ・・・」

目の前に、薄く笑った兄貴の顔が広がった。
その次の瞬間には、乾いた唇が押し付けられる。
僅かに開いた隙間から、それが差しこまれた。

「・・・・・・ふっ。じゃあ、またあとでね」

引いた糸を拭って、扉をくぐる兄貴の姿を見送る。
その姿が完全に見えなくなってから、小さな笑い声を響かせた。

「馬鹿だな、兄貴は」

産まれたときから、ずっとずっと。
与えられることに満足して、変化することを望まなかった自分が。

「空に飛び立ちたいと思うわけないじゃねぇか」

ただ見上げて、そこに自分の居場所がないのだと確認しているだけ。
青い青い空は今日も蒼く、手を伸ばせば届きそうな距離にあった。
 

PR
COMMENT FORM
NAME
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
TRACKBACK
TRACKBACK URL: