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サモンナイト4より。
ルシアン×アルバ。
 


もともとたいした傷ではなかった。
それでもこうして薬箱を引っ張り出しているのは、
怪我をそのままにしてはいけませんときつく言われているからだ。
最もここに彼女はいないわけで、ただの染みついた習慣というかなんというか。
だから正直、轟音とともに突然部屋に入ってきて土下座せんばかりの勢いで謝られても、
なにがなんだかさっぱりわからなかった。

「え、ちょ、ルシアン?」

頭を下げ続けている彼のことを困惑気味に呼ぶと、おずおずと顔をあげてくる。
やっと確認出来たそれは、何故だか泣きそうなほど歪んでいて。
再び混乱してきたアルバに届いたのは、ごめんなさいという小さな声だった。

「・・・僕のせいで、アルバが怪我しちゃって、本当にごめんなさい」

そう言って、ルシアンがまた頭を下げる。
怪我、と。確かに彼はそう言った。
つまり、自分のこの怪我に責任を感じているのだろうか。

「ルシアンが謝ることじゃないよ」
「っ、でも!」

考えるよりも先に出た言葉に、ルシアンが弾かれたように顔を上げる。
にこりと、アルバは笑みを浮かべた。

「これはさ、おいらのただの不注意なんだから。ルシアンが気にすることないよ」
「違うよっ。僕が・・・僕がもっとしっかりしてたら・・・」
「ルシアン・・・」
「アルバは僕をかばって怪我して・・・ホントに情けないな・・・」

しゅんとしてしまったルシアンに、アルバがゆっくりと近づいていく。
傍に立つと、彼の両手をぎゅっと握りこんだ。
そんなことはないと、かばったんではないと、ありったけの気持ちをこめて。

「あ、るば・・・?」
「ルシアンは、おいらがかばわなくちゃいけないほど弱くないよ」
「え・・・」
「本当にこれは、おいらが未熟だっただけなんだ。だから謝ることなんてないし、
ルシアンは情けなくもないよ」

もっと修行しないと、おいらも追いつかれちゃうね。
言いながら悪戯っぽく笑うと、ようやく彼も笑みを浮かべてくれた。
うん、やっぱり笑っているほうが断然いい。

「ありがとう、アルバ」
「ははっ、おいらは何もしてないって」

多分もう、手を握っている必要はないのだろうけど。
それでもこのままでいるのは、多分この体温が心地よいせい。
だからもう少しだけ、このままでいようと思った。
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