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サモンナイト2より。
双子。(過去捏造話)

腕をいっぱいに広げて、通り道をふさぐ。
所謂、通せんぼというやつだ。

「リューグ、邪魔なんだけど」

いつも以上の低い声にびくりとしながらも、ぐっと堪える。
ここで自分が負けてしまえば、部屋から出られてしまうのだ。
それだけは、絶対に阻止しなければならなかった。

「だ、ダメだからな!安静にしてろって言われてるだろ」

目にいっぱいの涙を溜めながら、それでもぐっと勢い込んで力強く宣言する。
微かに揺れた赤毛を目にとめながら、彼は深い溜息を吐いた。

「もう治ったよ。いつまでも寝てたら、体が腐ってくる」
「そんな訳ない!だって、医者はまだ安静にしてなさいって言ってた!」
「本人が治ったっていってるんだから、治ったんだよ」

ふぅっと息をついて、彼がじろりと視線を向けてくる。
いい加減にしろと、その眼が告げていた。
でもでも、今日こそは負けるわけにはいかないんだ!
よしっと心のなかで気合いを入れ、ぐっと腕に力を籠める。

「ダメっ、ダメだからな!外でたら、兄貴無茶ばっかするんだから。また悪化したらどうすんだよ!」
「そう」

短く頷いた彼のことを、やっと分かってくれたのかと縋るように見詰める。
すると彼は、にこっと綺麗な笑みを浮かべて見せた。

「それなら大丈夫。その時はまた、リューグが面倒みてくれるんだよね?」
「な、ななっ・・・!!?」
「あれ、見てくれないの?」
「み、見るけどっ!」

ついいつもの調子で返してしまってからハッとする。
慌てて彼のことを確認すると、いつのまにか無表情に戻っていた。

「じゃあ、そういうことだから」
「あっ、お、おい!待てっ・・・・・・」

必死に伸ばした手は、虚しく空を切る。
いつのまにか横をすり抜けていた彼の姿が、だんだんと小さくなっていった。

「っ・・・くそーっ!!」

また負けた。
がっくりと肩を落とす少年は、
次こそは兄の無茶を止めるんだと決意も新たにこぶしを握り締めたのだった。


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