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おおきく振りかぶってより。
水谷。(パラレル)
水谷。(パラレル)
ひっと竦みあがった瞬間にはもう終わりだった。
きらりと鈍く輝いたのは、彼が愛用しているナイフの光だろうか。
迫ってきていることは感じられても、どうすることもできない。
避けたところで――いや、そもそも避けられるなんてことはあり得ないのだが、
それでも万が一にでもそれがこの体を貫かなくても、最終的に辿る末路はおなじだろう。
この死神が、獲物を逃すことなどあり得ない。
生暖かい感触が、体を覆う。
心臓に突き刺さったナイフを、一気に引き抜かれた。
溢れ出る、血。血。血。
ふと視線を上にあげると、何の感情も感じさせない無機質な瞳と眼が合った。
ああ、と思う。
ここは真っ白な世界。白以外、何もない世界。
苦痛はなかった。ただ、体の中から何かが奪われていくような気がした。
崩れ落ちた体を支えるものなど何もなく、閉じられた瞳が開くことは二度となかった。
「つまんないのー」
黒衣に身を包んだその少年は、言葉通りに心底つまらなそうに呟く。
手に握ったナイフからは、一定のリズムで紅い雫が滴り落ちる。
それを気にした様子もなく、少年は白の世界を歩いていた。
ただ、紅い跡だけを引き連れて。
「んー、白に赤っていうのも結構いいもんなんだね」
不意に立ち止まって、後ろを振り向く。
その顔には笑顔とは程遠い、静かな笑みが浮かんでいた。
きらりと鈍く輝いたのは、彼が愛用しているナイフの光だろうか。
迫ってきていることは感じられても、どうすることもできない。
避けたところで――いや、そもそも避けられるなんてことはあり得ないのだが、
それでも万が一にでもそれがこの体を貫かなくても、最終的に辿る末路はおなじだろう。
この死神が、獲物を逃すことなどあり得ない。
生暖かい感触が、体を覆う。
心臓に突き刺さったナイフを、一気に引き抜かれた。
溢れ出る、血。血。血。
ふと視線を上にあげると、何の感情も感じさせない無機質な瞳と眼が合った。
ああ、と思う。
ここは真っ白な世界。白以外、何もない世界。
苦痛はなかった。ただ、体の中から何かが奪われていくような気がした。
崩れ落ちた体を支えるものなど何もなく、閉じられた瞳が開くことは二度となかった。
「つまんないのー」
黒衣に身を包んだその少年は、言葉通りに心底つまらなそうに呟く。
手に握ったナイフからは、一定のリズムで紅い雫が滴り落ちる。
それを気にした様子もなく、少年は白の世界を歩いていた。
ただ、紅い跡だけを引き連れて。
「んー、白に赤っていうのも結構いいもんなんだね」
不意に立ち止まって、後ろを振り向く。
その顔には笑顔とは程遠い、静かな笑みが浮かんでいた。
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