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まるマより。
勝利×有利。(幼少期)
小さな小さな手をしっかりと握って、その道を歩いて行く。
舗装されていない道は、ぼこぼこしていて歩きにくかった。
自分はともかく、この可愛い弟が万が一にでも怪我などしないように守らねばならない。
だがそんな彼の固い決意などどこ吹く風で、愛しの弟――有利は辺りを物珍しそうに眺めていた。
「ゆーちゃん、そんなにキョロキョロしてたら危ないよ」
「・・・・ん、へーき!」
「いや絶対危ないから、ほらしっかり前向いて・・・って、ゆーちゃっ・・・」
ぐいっと突然体を引っ張られて、思わずその場に転びそうになる。
それでもなんとか踏みとどまったのは、偏に弟への愛にほかならない。
ここで自分が転んでしまっては、ゆーちゃんも巻き添えに・・・!
ぐっと足を踏ん張って、なんとか体勢を整える。
けれどそのせいで、うっかり繋いでいたはずの手を離してしまったのだ。
「ゆー・・・!?」
慌てて辺りを見回すと、とてとてと走っていく後姿が目に入る。
おそらく何か興味を引くものを見つけたのだろう。
すぐにその姿を見付けられたことにホッとしたのも束の間、ぐらりとその小さな体が傾く。
「危ないっ・・・」
呟いたのと体が動いたのは、はたしてどちらが先だっただろうか。
傾いた体の下敷きになるように、ぎゅっと体を抱きしめる。
背中に軽い衝撃を感じて、思わず目を瞑った。
「しょーちゃ?しょーちゃっ!!」
自分を呼ぶ声が聞こえて、そっと目を開ける。
そこには何処か不安そうな有利の顔があった。
「ゆーちゃん・・・よかった。怪我はない?」
「んん、しょーちゃ、は?」
「うん、僕も大丈夫だよ」
実はまだ背中が軽く痛むのだが、そんなことを微塵も感じさせずににっこりと笑ってみせる。
すると安心したのか、有利がぎゅうっと腕を回してきた。
あったかい温もりに思わず絆されてしまいそうになったが、ここは心を鬼にしなければならない。
有利と目線を合わせて、少しだけ怒ったような表情を作った。
「でもね、いきなり走ったら危ないでしょ。お兄ちゃんと一緒に歩かなきゃ」
「いっ、しょー?」
「そう、一緒ね。じゃないと、危ないから。分かった?」
じっと有利のことを見つめると、何を思ったのかぱっと瞳を輝かせる。
にこにこと、心底嬉しそうな表情をしながら有利は彼を見つめた。
「へーき!」
「えっ、へ、平気って、何が?」
「あぶーくっても、へーき!」
恐らく危なくても、と言いたいのだろうが、どこをどうすればそういう結論に達するのか。
もしかして、少し頭の弱い有利には難しかったのだろうか。
いやいや、いくらゆーちゃんでもそこまで、いやしかし。
そんなことをぐるぐると考えていると、満面の笑みを浮かべた有利と目が合った。
ゆーちゃん、そう声を掛けるよりはやく、有利が声を紡いだ。
「しょーちゃが守ってくれーから、あぶーくってもへーき!」
なんてことを、この愛しい弟君は言ってくれちゃっているのだろうか。
そう、そうだとも。この子を傷つける者は、たとえ誰であろうと何であろうと容赦はしない。
「うん、そうだね。ゆーちゃんは、僕が守るから」
ずっとずっと、こうして一緒にいられるわけじゃないだろう。
それでも、例え遠くに離れていたって。
弟を守るのは、兄だけの特権でいてくれればいい。
儚い願いを籠めて、抱きしめていた腕に力をいれた。
舗装されていない道は、ぼこぼこしていて歩きにくかった。
自分はともかく、この可愛い弟が万が一にでも怪我などしないように守らねばならない。
だがそんな彼の固い決意などどこ吹く風で、愛しの弟――有利は辺りを物珍しそうに眺めていた。
「ゆーちゃん、そんなにキョロキョロしてたら危ないよ」
「・・・・ん、へーき!」
「いや絶対危ないから、ほらしっかり前向いて・・・って、ゆーちゃっ・・・」
ぐいっと突然体を引っ張られて、思わずその場に転びそうになる。
それでもなんとか踏みとどまったのは、偏に弟への愛にほかならない。
ここで自分が転んでしまっては、ゆーちゃんも巻き添えに・・・!
ぐっと足を踏ん張って、なんとか体勢を整える。
けれどそのせいで、うっかり繋いでいたはずの手を離してしまったのだ。
「ゆー・・・!?」
慌てて辺りを見回すと、とてとてと走っていく後姿が目に入る。
おそらく何か興味を引くものを見つけたのだろう。
すぐにその姿を見付けられたことにホッとしたのも束の間、ぐらりとその小さな体が傾く。
「危ないっ・・・」
呟いたのと体が動いたのは、はたしてどちらが先だっただろうか。
傾いた体の下敷きになるように、ぎゅっと体を抱きしめる。
背中に軽い衝撃を感じて、思わず目を瞑った。
「しょーちゃ?しょーちゃっ!!」
自分を呼ぶ声が聞こえて、そっと目を開ける。
そこには何処か不安そうな有利の顔があった。
「ゆーちゃん・・・よかった。怪我はない?」
「んん、しょーちゃ、は?」
「うん、僕も大丈夫だよ」
実はまだ背中が軽く痛むのだが、そんなことを微塵も感じさせずににっこりと笑ってみせる。
すると安心したのか、有利がぎゅうっと腕を回してきた。
あったかい温もりに思わず絆されてしまいそうになったが、ここは心を鬼にしなければならない。
有利と目線を合わせて、少しだけ怒ったような表情を作った。
「でもね、いきなり走ったら危ないでしょ。お兄ちゃんと一緒に歩かなきゃ」
「いっ、しょー?」
「そう、一緒ね。じゃないと、危ないから。分かった?」
じっと有利のことを見つめると、何を思ったのかぱっと瞳を輝かせる。
にこにこと、心底嬉しそうな表情をしながら有利は彼を見つめた。
「へーき!」
「えっ、へ、平気って、何が?」
「あぶーくっても、へーき!」
恐らく危なくても、と言いたいのだろうが、どこをどうすればそういう結論に達するのか。
もしかして、少し頭の弱い有利には難しかったのだろうか。
いやいや、いくらゆーちゃんでもそこまで、いやしかし。
そんなことをぐるぐると考えていると、満面の笑みを浮かべた有利と目が合った。
ゆーちゃん、そう声を掛けるよりはやく、有利が声を紡いだ。
「しょーちゃが守ってくれーから、あぶーくってもへーき!」
なんてことを、この愛しい弟君は言ってくれちゃっているのだろうか。
そう、そうだとも。この子を傷つける者は、たとえ誰であろうと何であろうと容赦はしない。
「うん、そうだね。ゆーちゃんは、僕が守るから」
ずっとずっと、こうして一緒にいられるわけじゃないだろう。
それでも、例え遠くに離れていたって。
弟を守るのは、兄だけの特権でいてくれればいい。
儚い願いを籠めて、抱きしめていた腕に力をいれた。
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