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おおきく振りかぶってより。
三橋総受け風味。
ひっと体を縮こませ、その大きな瞳から涙が零れ落ちる寸前だった。
どがっと、目の前のそれが吹っ飛ばされる。
「う、え・・・!?」
驚きで涙が引っ込み、きょときょととその眼を瞬かせる。
いったい何が起こったのだろう。
考えても分からず、そういえばあの吹っ飛ばされた彼は・・・
「気にしなくていいよ、三橋」
「さ、栄口、くっ・・・!」
いつの間にか、にこりと笑みを浮かべる栄口が目の前にいて。
そのいい人スマイルに、ほっと三橋は胸を撫で下ろした。
「さあ、三橋。あっちいこうね」
「で、でも、阿部く、ん・・・!」
「あはは、あんなのは気にしなくてもいいんだよ。お菓子もあるからね」
「うお、お菓子!」
そんな会話を繰り広げ、あっさりと栄口に三橋が連れていかれたのが数分前。
いい加減、あの俺様捕手は色々と学習したほうがいいんじゃないだろうか。
「やっぱり、栄口は最強だよね」
ははと苦笑まじりに呟いた沖に、巣山もだなと短く返す。
それを聞いていた西広が、でもさなんて言葉を返した。
「泉だって、それをいうなら同じって気がするけど」
「ああ、かも」
「それもそうか。保護者だし」
「だったら、オレは田島が最強だと思うけどな」
はあっと深い溜め息とともに花井が吐き出すと、皆が一斉に苦笑を零す。
確かに、田島はいろんな意味で最強である。
その天才的なセンスしかり、破天荒な行動しかり。
そのツケが全て花井にまわっているのは気の毒だが、それはもう人徳だと思って諦めてほしい。
「ドンマイ、花井」
「は、ははっ・・・・・・」
ポンと肩を叩く西広に乾いた笑いを浮かべる花井を見ながら、沖と巣山がのほほんと会話を続ける。
「まあ、確かに最強なのは田島だよな」
「うん、いろんな意味でね」
「それを言ったら、阿部だってそうだろ」
「う・・・そうかも」
なんて、至極どうでもいいことでうんうんと唸っていると、突如。
「なんだよ、そんなの決まってんじゃん」
会話に割り込むように、明るい声が響いた。
驚いた2人が声のほうを向くと、そこには偉そうにふんぞりかえった田島の姿。
にししと満面の笑みを浮かべながら、告げた。
「オレたちのなかで最強なのは、いつだって三橋!だろ?」
あっ・・・と、呆然と呟かれたのは同時だった。
我らが西浦の最強軍団が動くのは、いつだって愛しい愛しいエースのため。
「・・・だね」
「・・・ああ」
なんで気付かなかったんだろう。
沖と巣山は、顔を見合せて苦笑した。