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サモンナイト4より。
ライ×アルバ。
ふと目に入ったのは、ゆらゆらと揺れる一輪の花。
過ったのは、幼い頃の会話。
花占い、なんて。
自分も随分と末期かもしれない。
微かに苦笑を漏らしながら、アルバはゆっくりとそれに近づいた。
彼が女の子に声を掛けられるのなんて、日常茶飯事のことで。
弾む会話と、楽しそうな笑い声。
いつもと変わらない、同じ風景。
それでも普段より、彼が嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか。
否応なしに、現実を突きつけられた気がした。
彼の隣に立つのは、自分なんかじゃなく。彼女みたいな可愛い女の子のほうが。
(・・・いいに、決まってるじゃないか)
そう、悩むまでもない。初めから、分かっていたことだ。
なのに自分はいまだ、こんな女々しいことをしている。
花占いだなんて、それこそこんな男がやるようなものじゃないだろうに。
「好き・・・嫌い、好き・・・・・・」
ぷちり、ぷちり。
花びらが、ひらひらと空中を舞っていく。
ごめんね、と思う。
自分勝手な理由で、綺麗な花弁を散らせてしまって。
「・・・嫌い・・・好き・・・あっ、」
思わず、声が漏れた。
残りの花弁は、たった一枚。
ああ、やっぱり。
涙が出そうになっている自分に気がついて、無理やり笑みを形作った。
「ははっ、やっぱりライはおいらのことが嫌いなんだ」
いつから、こんなにも好きになっていたんだろう。
たかが花弁一枚で、こんなにも落ち込んでしまえるほどに。
ゆっくりと、最後の一枚にその手を伸ばす。
小さく、笑いながら。
「き・・・・・・」
「誰が、アルバのことが嫌いだって?」
突如割り込んできた、声。
はっとして振り向くと、そこには思った通りの姿。
「ら、い・・・?」
「おう。で、誰が誰を嫌いだって?」
「っ、そ、れは・・・」
「うん」
どことなく怒ったような雰囲気を漂わせながら、じっとこちらを見つめてくる。
その眼が、早く続きを言えと促してきて。
彼の視線から逃れるようにしながら、微かに口を開いた。
「ライ、が・・・おいらを・・・」
聞こえてきたのは、はぁっという彼の大きな溜め息。
びくりと体を震わせると、唐突に体を引っ張られた。
不思議に思う間もない。
気づけば、目の前には大好きな彼の顔が広がっていて。
「らっ・・・んっ・・・・・・」
そして彼は、ふっと表情を崩す。
ふわっと、いつものように優しく微笑んだ。
「オレは、アルバが好きだ。誰よりもずっとずっと」
「・・・・・・ライ」
ぎゅっと、彼が体を抱きしめてくる。
お日様のような彼のにおいが、ふわりと鼻を擽った。
「だからさ、そんな花なんかじゃなくて、オレを信じてくれよ」
「・・・っ」
「大好きだ、アルバ」
「・・・おいらも、大好き」
ぐっと胸に顔を押しつけて、自分も彼の背中に手を回す。
その手には、花弁がなくなった一輪の花。
いや、より正確には―――