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まるマより。
有利←勝利+村田。


「嘘ですね」

いやにはっきりと断言され、ひくりとこめかみが動く。
何が分かるというんだ。こいつに、俺の何が。

「知ってます?お兄さんって意外に分かりやすいんですよ。渋谷とおんなじ、さすが兄弟ですね」
「俺はお前の兄になった覚えはない」
「それはどうも、すみません。友達のお兄さん」

くすくすと楽しそうに笑う声に殊更不機嫌に返すが、対した意味は為さなかったようだ。
腹立たしいことこの上ない。兄弟、をいやに協調しやがって。
おまえなんか、ただの友達じゃないか。
奴はずれた眼鏡を押し上げ、にこっと厭味なくらいの笑みを浮かべた。

「確かに貴方の言葉は真実でしょう。渋谷をとても大切に思っている・・・ですが」
「・・・なんだよ」

問いかける必要も感じなかったが、どことなくのせられた気がする。
やけに芝居がかった仕草で、ピンと人差し指を立てた。

「真実は、時として矛盾をうむんです。嘘が矛盾をうみだすようにね」

どきりと、した。
何になんて分からない。ただ、心臓が張り裂けそうだった。

「ほんの少し、噛み合わない場所。真実をぬうようにしてできた隙間」

ふふっと、奴が小さく笑う。
人の皮を被った、悪魔の笑み。

「そんなこと僕に言われるまでもない。貴方が一番よく分かっているでしょう?お兄さん」

 

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