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さよなら絶望先生より。
准×望。
准×望。
静かに、彼は笑った。
幼さの残る、大人びた表情で。
「これからですよ」
「・・・これから?」
漏れ出たのは、馬鹿みたいに同じ言葉だけ。
いけない。これ以上は、許してはいけない。
がんがんと頭のなかで響いているのに、動けない。
警鐘が鳴り響くのを、何処か遠くできいている自分がいた。
「だってせんせい」
無垢で無邪気。
けれどその心のうちは。
その囁きは、天使か悪魔か。
「今から二人で、歩けばいいじゃないですか」
なんと甘美な誘い文句。
それは今までの人生を、価値観を、全て無意味とする。
分かっている。
分かっていて、彼は笑う。
「振り返ってみたらどうです?」
囁きに耳を貸せば、待っているのは破滅の二文字。
―――それでも。
二人ならそれもいいと思っている自分は、もうすでに囚われているのだろうか。
振り返った先に見たのは、独りだけのアシアト。
でも、それでいいのだ。いまは、まだ。
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