７４．ぼくの知らない君

TOVより。
ラピユリ←フレン。

誰よりも長い時間を共有してきたはずなのに。
誰よりも彼のことを知っていると思っていたのに。
誰よりも。彼のなかでいちばんの存在であったはずなのに。

「ユーリ・・・」

僕は知らない。
あんなふうに穏やかな彼を。
あんな、愛おしそうな眼をした彼を。


思い知らされた。
もう彼の相棒は、自分ではないのだということを。


彼らのあいだに言葉なんて無粋なものは必要ない。
いつもっぴたりと寄り添って、視線のみで交わされる会話。
入り込めない何かが、確かにそこにはあった。だけど、

「せいぜい想い合っていればいいんだ・・・」

どうせどんなに強い想いがあったってどうしよもない。
その想いの強さが、自らの首を絞めることになるのだから。

「その時こそ、僕が君の相棒だよね。ユーリ」

知らず浮かんだ笑みは、昏く深い。
その瞳は、底に堕ちた彼らを見詰めていた。