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臨也×帝人。
退屈な日常は、嫌いだ。
変わらない変わらない変わらない。
ぐるぐると繰り返す。そんな日々。
非、日常と言えば、聞こえはいいのかもしれない。
けれどそれは結局、異常な日常ということであり、それ以上でも以下でもない。
そんなものを求める自分もとっくに正常ではないのだということは、すでに自覚していた。
「あっ・・・」
殺意が湧いた。
目の前には包丁、肌に滑らせればすーっと切れていくに違いない。
こういうときは、どうすればいいんだろう。
「どうしたのかな、帝人君」
掛けられた声に、思考が霧散していく。
それと一緒に殺意までもっていかれてしまった。
帝人は困ったように笑いながら、ぽりぽりと頬を引っ掻いた。
「殺意が湧いたんですけど」
「うん」
「なんかどっかいっちゃったんですよね」
「そっか。それは残念だね」
「どうなんでしょう」
正直残念なのかどうなのか、帝人には区別がつかなかった。
本気で殺したいと思っていたような気もするし、そうでないような気もする。
よく分からない。だってあの時の気持ちは、どこかに飛んで行ってしまったのだから。
「ちなみに誰を?」
「え?臨也さんですよ」
「俺?」
「はい」
何を当たり前のことを。帝人はそう思う。
だってここには僕とこの人のふたりだけだ。それ以外には、何もない。
「そっかー。俺かー」
「あの、何かおかしかったですか?」
「いや、全然。でも帝人君って、実は俺のこと嫌いなのかな?」
言われた意味が理解できず、きょとんと首を傾げる。
嫌い?誰が誰を?
「僕は臨也さんのこと大好きですよ。とっても」
「うん、オレも帝人君のこと大好き」
にこにこと笑いかけてくる臨也に、帝人もにっこりと笑いかける。
結局さっきの話はなんだったんだろう。まあどうでもいいか。関係ないし。
帝人は臨也の胸に抱きついて、ぐりぐりと顔を押し付けた。
愛するのは非、日常。故に彼を愛す。
そんな自分も、とっくに自覚していた。