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乙女的恋革命★ラブレボより。
鷹士+剣之助。(兄鷹士、弟剣之助のパラレル)


その日の俺は、喧嘩のあとを作って家路に向かっていた。
「やばいよな・・・」
だけど呟いてみたところでどうにもならず、足取りは重い。
別に喧嘩すること自体はたいして気にしてないが、兄に見付かったときのことを考えると憂鬱にもなる。
とてもそのまま帰る気にはなれなくて、少しだけ寄り道して行くことにした。

 

あれからおよそ数時間。
さすがに帰らないわけにもいかなくて、俺は今玄関の前に立っている。

「ただいま・・・」

そういう声が、いつもより小さくなるのはしょうがないことだ。
出来れば、兄貴に見付かる前にさっさと傷の手当てを済ませたい。
もちろん、そんなことでバレないとは思ってないけど。

「剣之助?」

そう思っていた矢先、声をかけられてしまった。
はっきり言って、最悪だ。

「あっ、ああ。ただいま」
「おう、お帰り。今日は部活ないって言ってたのに、なかなか帰って来なかっただろう?兄ちゃん、すごく心配・・・」

言いながら、兄貴の顔が険しくなる。
やばっ、早く逃げないと。

「俺、宿題あるから」
「剣!!」

立ち去ろうとした俺の肩を、兄貴ががっしりと掴む。
駄目だ、もう逃げられない。

「その傷はどうしたんだ?」
「べっ、別に・・・」
「ああっ、こんなに腫れちゃってるじゃないか!!・・・まったく、俺の弟に傷を付けるなんていい度胸してる」

ちらりと覗いた兄貴の黒い笑みに、俺は慌てる。
この人が本気になったら、病院送りどころじゃ済まされない。

「転んだんだよ」
「はっ?」
「だっ、だから転んだだけなんだって」

自分でも、なんて陳腐な言い分だろうと思う。お粗末にもほどがある。
だけど兄貴は一瞬考えこんだ後、苦笑気味に笑いながら、俺の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

「そっか。お前は案外そそっかしいからな」

俺の言ったことを、信じたわけじゃないと思う。
ただ、この人はそういう人なんだ。
俺が思わず顔を上げると、穏やかな目をした兄貴と視線がぶつかって。
何だかんだ言って、俺は多分、兄貴のこういう瞳が好きなんだと思う。
まあ、そのあと病院連れてこうとしたり、風呂まで入ってきそうになったり、そういうのは、やっぱり鬱陶しいんだけど。

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